小野篁と藤原良相の物語、いよいよ大詰めです!

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(5/20に煎茶道のお茶会に行ってきました。写真は会場の万福寺@京都です)

おひさしぶりです、新作執筆も佳境に入っている猪俣樒です。

そういえば、先日 アニメ&漫画で人気の「鬼灯の冷徹」を今さらながら初めて拝見させていただきました!(地獄が舞台であり篁さんが登場すると聞いていたのでとても興味があったのですが、アニメ第一期は気付かぬまま終わっていて二期をようやく見ることができました)
まだ人物設定など把握していないのであれですが、篁さんは鬼灯様と入れ替わっていた時期があるらしいので、現在巷で言われている設定(身の丈がでかくて鬼のよう)は入れ替わっていた時の鬼灯様の外見が間違って伝わったっていう感じになっているんでしょうかね(^^)オモシロイ!
同僚に「しきみ」さんも出てきているようで!かなりうれしかったです!!
(樒=しきみはお墓によく植えられたりする魔除けの植物で、お盆のころにもお供え用によく出回るので地獄とはなじみのある植物です。ちなみにわたくしのペンネームは、ポケモンやこの漫画で使われているのをしらずにつけたものですよ!)

「小野篁那由他之獄焔」の新作も、現在鋭意執筆中!
先日押川氏と打ち合わせをしまして、これから最後の仕上げにかかりたいと思っております!
今回の作品は、いよいよ篁という存在の核心に迫る物語。
知っている人は察しがつくのではと思いますが、良相と篁の絆を示すある有名なエピソードを、わたしなりに解釈して再構築した物語となっています。

本シリーズはここでひとまず「第一部-完‐」となります。
ここから先は新たなる展開の「第二部」として書いていきたいと思っておりますが、それまで少しお時間をいただくことになりそうです。
第二部の構想がまとまるまでは、第一部のスピンオフや篁とはまた別の世界の物語(時代も登場人物も全く異なるもの)を書いてみたいなとも思っております。
「泳げ!」の貴重な紙面におじゃまさせていただく機会がまたいただけるようでしたら、そこでまたお会いできれば幸いです!まずは、6月の文学フリマに間に合うよう、最終話の執筆がんばりたいと思います!(*^u^*)

ひとの生き死に、善と悪、ひとはなぜ不幸せになってしまうのか…… 人の世の幸いとは。
なぜ生きるのか。死とはなにか。死の先にあるものとは。死にゆくものと残されたもの。

小さい頃、大好きだったおばあちゃんが亡くなって、とてつもなく悲しい気持ちに沈みながら「なぜ今自分はこんなにも悲しいのか。死ははぜ悲しいのか。人はなにを思って悲しむのか」と延々と考え続けていました。(小学校のころです)
それ以来、わたしは常に、自分の感情の理由と人間の存在の理由を探し続けてきたように思います。
その大好きだったおばあちゃんが元気だったころ、「死ぬってどういうこと?」と何気なく聞いたわたしに、死ぬことは怖いことでも特別なことでもないと子どもにもわかる言葉で教えてくれました。生まれてきたからには、かならず迎える最後。人生が、悲しいことや怖いことに向かって突き進んでいくわけではないというのは、何が正解で何が間違いなのかもわからずに迷いながら生きているわたしにとって、救いとなる言葉でした。

わたしの紡ぐ物語も、重く沈む誰かの心をほんの少しでも軽くしたり、暗闇の中に希望を見出す一助の光となることができれば、とても嬉しく思います。

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篁新作、なんとか脱稿!

おひさしぶりです。

作品紹介の続きを書こう書こうと思っているうちに新作執筆にも追われ、ブログ更新がかなり滞ってしまいました(^^;

ともあれ、なんとか無事脱稿!
「小野篁那由他之獄焔」新作であります(^-^)v
今回の主人公は藤原良相。
梅雨の晴れ間の気持ちの良い朝、牛車で内裏へと向かう良相が出くわす、ある出来事。
思いもよらぬ展開に翻弄され、辿り着いた結末とは……

文芸同人誌「泳げ!」発行人の押川氏といろいろ打ち合わせた結果、最初に考えていたものとは違う展開と結末に落ち着きましたが、今回もわたし個人の「思い」が強く込められた作品です。

最初に考えていたモチーフは、円珍のスピンオフ作品としてまた近いうちに形にしたいと思っています。

今回の新作「木槿(むくげ)の祠」は11/23の文学フリマで発売予定の「泳げ!」最新刊に掲載予定ですので、ぜひお手に取ってくださいませ!

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作品紹介(2)「招く手」(小野篁那由他之獄焔第二話)

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(キーボードの上にあるのはお手製の年表。登場人物・関連人物の生没などが記載されています)

文芸同人誌「泳げ!」掲載中の作品も含めて、小野篁の物語には今昔物語集にヒントを得て書いた作品が多々あります。
今昔物語集は平安時代末期(十二世紀前半)に成立したとされる日本最大の説話集で、その物語のどれもが「今は昔」で始まるのが特徴です。
今は昔、で思い出すものに「今は昔竹取の翁といふものありけり」がありますが、竹取物語とよく似た物語が今昔物語集に収録されています。
巻三十一第三十三「竹取翁、見付けし女の児を養へる語」ですが、今広く知られている竹取物語とは少々違うところもあり簡略化された内容になっています。
その頃既に口伝で世に知られていた「竹取物語の原型」とも言える物語を今昔物語集をまとめるときに収録したのでは、とも言われていますが、こういった各地で語られてきた不思議な物語が今昔物語集にはたくさん収められているのです。

今昔物語集には千を超える膨大な物語が収められていますが、それらは天竺(インド)部、震旦(中国)部、本朝(日本)部の三部から成り立っています。
天竺部と震旦部は仏典を翻訳したような内容で天竺部はお釈迦さまの物語が中心となっていますが、教訓的な話が多くて少し堅苦しいかもしれませんね。
本朝部は本朝仏法部と本朝世俗部に分かれますが、世俗部ではいろいろな地域や階層の人々が様々な物語を展開します。内容は摩訶不思議な物語、怪談じみた物語、人情味あふれる物語、笑い話のような物語など多岐にわたり、その後の色々な著作・芸術などに影響を与えています。

今回ご紹介する「招く手」は、巻第二十七第三(本朝世俗部)「桃園柱穴指出児手招人語」をもとにした物語です。
まずは、そもそもの物語を原文でご紹介しましょう。

今昔、桃園と云は、今の世尊寺也。本は寺にも無くて有ける時に、西の宮の左の大臣なむ住み給ける。  

其の時に、寝殿の辰巳の母屋の柱に、木の節の穴開たりけり。夜に成れば、其の木の節の穴より、小さき児の手を差出て人を招く事なむ有ける。  

大臣、此れを聞給て、糸奇異(あさまし)く怪び驚て、其の穴の上に経を結付奉たりけれども、尚招ければ、仏を懸奉たりけれども、招く事尚止まざりけり。此く様々すれども、敢て止まらず。二夜三夜を隔て、夜半許に人の皆寝ぬる程に、必ず招く也けり。  

而る間、或る人、亦、「試む」と思て、征箭(そや)を一筋、其の穴に指入たりければ、其の征箭の有ける限は招く事無かりければ、其の後、征箭の柄をば抜て、征箭の身の限を穴に深く打入れたりければ、其より後は招く事絶にけり。  

此れを思ふに、心得ぬ事也。定めて、者の霊などの為る事にこそは有けめ。其れに、征箭の験、当に仏経に増(まさ)り奉て恐むやは。  

然れば、其の時の人、皆此れを聞て、此なむ怪しび疑ひけるとなむ語り伝へたるとや。

(現代語訳)
今となってはもう昔のことになるが、桃園というのは今の世尊寺のこと。もともとは寺でもなかった頃に西の宮の左大臣(源高明)という人が住んでいた。
その時に、寝殿の東南のほうにある母屋の柱に、木の節穴が開いていた。
夜になると、その木の節穴から小さいこどもの手が出てきて人を手招きすることがあった。
大臣はそれを聞いて、非常に驚き怪しく思って、その穴の上にお経を下げておいたけれども、それでも手招きするので、仏像を掛けてみたが、手招きすることは止まなかった。
このようにいろいろやってみたけれど、けして止むことはなかった。
二夜三夜おきに、夜中人が皆寝静まった頃に必ず手招きするのだった。
そうしている中に、ある人がまた「試してみよう」と思って、戦に使う矢を一本その穴に差し入れたところ、その矢のある限りは招くことがなかったので、その後矢の柄を抜いて鏃の部分だけ穴に深く打ち込んだところ、それから後は招くことがなくなった。
これを考えてみるに、どうも納得いかないことだ。きっと、何者かの霊などのなせることなのだろう。それに矢の効き目が仏力にまさるとは思えない。
だから当時の人はみなこれを聞いて、そのようなことがあるのかと怪しんで疑ったと語り伝えたそうだ。

お札や仏像に頼んでも効果がなかったのが、穴を鏃でふさいだら出てこれなくなった……という、ちょっとくすっとしてしまうような怪談ですね。
しかし、柱の穴から手が出てくると言ってもこどもの手。女の人の手がうらめしげに毎晩手招くというのなら空恐ろしい感じもしますが、赤子がお母さんを探して手を動かしているような姿を想像してしまい、怖いというよりも個人的にはかわいらしいなと思ってしまいます。
そうなると、この手はいったい何を求めているのだろう、なぜお母さんと離れ離れになってしまったのだろうといろいろとその「物の怪」について想像を巡らせてしまうのですが……。
そうやって考えているうちに生まれたのが、小野篁那由他之獄焔第二話「招く手」です。
子を失った親と、親を求める子――。
今読み返すと少々拙いところの残る作品ですが、「桃園柱穴指出児手招人語」がどんな話に化けたのか、ぜひ読んでみていただきたいと思います。

#次回は「小野篁那由他之獄焔」第三話「赤い衣」について、その元となった物語をご紹介したいと思います。

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文学フリマ「たびね町」ブース

文学フリマ「たびね町」ブース

拙著も置いていただいております(^。^)
(写っているのは丸本氏。まいどお世話になっております!!)

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文学フリマに来ています!(2017.5)

文学フリマに来ています!(2017.5)

泳げ!ブースの押川氏&服部氏。新刊出ました☆

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